患者は、吸血鬼の犠牲者。
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[シティ・ホスピタル〈特殊咬傷科〉]は、現代社会を舞台に吸血鬼の犠牲者を救うべく奔走する主人公の活動を描いた、SF・ホラー要素を含むフィクション文学作品です。吸血鬼ジャンルにありがちな一族の因縁や派手なバトルといった要素を排し、飾らない展開とカジュアルな描写に重きを置いた、一話完結の短編~中編シリーズとなっています。こちらでは作品の設定や登場人物についてご紹介します。
2010年代のアメリカ合衆国が舞台。吸血鬼の実在はほとんど知られておらず、迷信であるというのが一般的な認識である。しかし公の機関は吸血鬼及び関連事件には一切関与しない方針を歴史のどこかで定めており、吸血鬼の犠牲者は自死や突然死などとして処理されている。その裏で、俗にヴァンパイア・ハンターと呼ばれる有志や専業者による非公認の活動が黙認されている。
夜にのみ目覚めて人間の生き血を糧に永らえている者たち。吸血鬼に咬まれて「手遅れ」となった犠牲者は、人間としての死を迎え吸血鬼として蘇る。超自然的な体質や能力を得る者も多いが個人差が大きい。伝承の通り、日光を浴びるか心臓を刺し貫くことで滅びる。自然光に影を落とさない、鏡に映らない、大蒜の臭気に弱い、流れ水を拒む、住人の許可を得なければ屋内に入れないなど、不思議な性質を有する。
カリフォルニア州、ロサンゼルス郡内の架空の市街に位置する総合病院[シティ・ホスピタル]。そこに近年開設された診療科[特殊咬傷科]が物語の中心となる。三名の職員のみで構成された小さな部署であり、表立っての活動はしていないが、近隣の警察や医療関係者の間では認知されつつあるらしい。
病院棟から地下通路でのみ通じる独立した病棟を有し、地下階にはオフィスと病室二部屋(1、2号室)、地上階には病室四部屋(14-17号室)が設けられている。地上階の窓は強化ガラスの嵌め殺しとなっており、屋外に通じる出入口もなく、上階廊下へのアクセスには階段かエレベーターを使用する。地下階から中庭に通じる隠し通路も存在。病室はすべて一床室でバスルームを完備しており、厄介な患者や襲来する吸血鬼に対処するための様々な設備が施されている。
地下階最奥のオフィスにはロンとリックのデスク、そして病棟のコントロールデスクが並び、各種設備の制御や病室のモニターが可能。ロッカーや簡易キッチンもあり職員の詰所として機能する他、カウチで来院者の相談を受けることもある。冷蔵庫とカルテラックの隙間にはガンロッカーが設置されている。
本名リチャード・ウィルソン(Richard Wilson)、20代後半の男性。特殊咬傷科の専属ナース。普段はワイシャツ姿で勤務、患者の看護時のみスクラブを着用。
看護助手(Certified Nursing Assistants)のライセンスを有し、患者の世話やカルテ管理などが表向きの仕事。実際はロンの助手として経験を積んだ吸血鬼ハンターであり、愛車の青いバイクで早朝の街に繰り出し、吸血鬼の寝床を暴いては処理する任務を遂行している。
16歳の時に遭遇した吸血鬼案件を切っ掛けにロンに弟子入りするも、吸血鬼に対する憎悪や私怨といった感情はない。これといった趣味はなく、気が向けば近所のジムのプールで泳ぐ程度。犬や猫など毛深く牙のある動物が苦手。好きな曲はNight RangerのWhen You Close Your Eyes。
本名ロナルド・ギルバート(Ronald Gilbert)、60代前半。熟練の吸血鬼ハンターでリックの相棒。無口で排他的だが信頼のできる男。ベスの働きかけによって〈特殊咬傷科〉の設立に協力。医療ライセンスは取得していないため、書類上の役職はメディカル・アシスタント(Medical Assistant)となっているが、その豊富な経験から実質科長として科を率いている。
吸血鬼に襲われた妻を失ったことからハンターとなり、執念深く二十年も‘ロード’を追い続けてきたが、ある事件を機に停戦状態となっている。その後リックの事件の際に引退を考えるも、彼が弟子入りしたことで思い留まり今日に至る。近年では仕事の多くをリックに任せて一線を退いている。
個人で活動していた頃のコネから警察に知人が多い。乗用車はくすんだゴールドのフォード。病院に勤務するようになってからは禁煙を心がけているが、時々隠れて喫煙しているらしい。好きな食べ物はフライドチキン。
本名エリザベス・メイプル(Elizabeth Maple)、20代後半。ブルネットのショートヘアー、ハイネックのインナーに重ねた臙脂色(バーガンディ)のスクラブの似合うクールな女性。
医師と同等の権限を持つ上級看護師(Nurse Practitioner)として普段は一般病棟で夜勤を務めており、必要に応じて科に赴き患者の診療に当たる。書類上は彼女が〈特殊咬傷科〉の創設者及び責任者である。
子供の頃に遭遇した吸血鬼事件でロンに救われた過去がありながらも、‘ロード’とは深い間柄にあるらしく、週休に設定している月曜日にも病棟を訪れては逢引きしている。趣味は読書でミステリー小説を愛読。好きな食べ物はベリー系のデザート。
本名不明。謎に包まれた吸血鬼の男性。気取った襟の礼装用シャツに深夜青(ミッドナイトブルー)のベストがお決まりのスタイル。髪型は気分で変えているようだが、最近は長めの黒髪を束ねている。
神出鬼没で、ハンターの本拠地である〈特殊咬傷科〉に公然と出入りし、あまつさえリックたちに協力することも。吸血鬼でありながらも科の治療方針に意見するなど大仰で気障(きざ)な奴。
ロンの妻を襲ったことから宿敵として長年追われ続けていたが、ある事件を機に停戦状態となっている。にもかかわらずベスとは只ならぬ関係にあるらしく、ロンがその交際を黙認していることから、リックは猜疑心を募らせている。
深夜の街角で吸血鬼に襲われた女性が搬送された先は、市街の総合病院シティ・ホスピタルにだけ存在する専門外来・特殊咬傷科であった。孤立した隔離病棟に収容された患者、その生き血を求めて襲来する吸血鬼に、三人の専属スタッフはどう対処し、犠牲者の命を救うのか。
吸血鬼による娘への被害を訴えて相談に訪れた二組の家族。生死から貧富の差まで、すべてが対照的な二人の少女の共通点は、十六歳であること。患者の対応に手を焼くリックとロン、そしてそんな彼らを嘲笑うかのように颯爽と特殊咬傷科に現れる謎の吸血鬼‘ロード’。夜の窓辺に舞い降りる闇、その冴えたまなざしに映るものは。
夜勤のオフィスに詰めるリックのもとを訪れたのは、病棟に迷い込んだ一人の少年と、治療を求める一人のハンターだった。少年が特殊咬傷科に好奇心を募らせる一方、吸血鬼の報復を受けた男は死を覚悟する。彼の標的であった女吸血鬼に、彼女を‘主’と慕う犠牲者たちの因縁。狩る者と狩られる者の連鎖を、リックは断ち切ることができるのか。
特殊咬傷科にも時に救えない命がある。不死の病に罹患した患者と、彼を支える担当看護師。社会の片隅で夜だけに生きる男のもとに一人の青年が現れる時、終わりのない闘病生活に一層暗い影が落ちる。
研修を口実に精神科医のカウンセリング・セッションに招かれたリック。そこで知り合った自称吸血鬼の患者は、ある問題を抱えていた。秋の深まる季節、リックは特殊咬傷科に搬送されてきた男と再会する。今や犠牲者となった彼を狙う少女は、病棟の防護設備をものともせず、無邪気に微笑みながら冷酷な牙を剥く。
深夜の特殊咬傷科を訪れた紳士は、学者であり吸血鬼でもあった。彼はある条件付きの仕事を依頼し、標本に囲まれた小さな研究室にリックを招待する。そこで明かされる彼の過去と、いつか交わした少女との約束とは。
深夜の自動車道で発生した事故がすべての始まりだった。早急に、との願いで特殊咬傷科へ相談に訪れた女性は、同僚の置かれた危険な状態について打ち明けた。驚くべきは彼女が加害者、吸血鬼が被害者であり、別の事故を起こした同僚の命を救ったのもまた彼であるという。手厚く介抱した吸血鬼を送り出した今、同僚には死の、そして不死の危機が迫っている。
以降、執筆中です_
・Episode 8:時の鎖 - Piled Chain
現在、各エピソードのあとがきは隠しページのみでの公開となっております。入室コードは四桁の数字で[Original Works]ページのどこかに隠されていますので、ぜひ探してみてください。